ご挨拶

Greeting

 父・石原慎太郎は2022年2月1日に89歳で天寿を全ういたしました。衆参両議院議員を25年以上務めて閣僚や派閥領袖も経験し、その後は4期にわたり東京都知事を務めさせて頂いたこともあり、石原慎太郎は政治家であったというイメージを多くの方がお持ちになられていると思います。しかし、息子の私から見ていた父は、政治家ではなく、作家、いやそれにとどまらずに表現者でありました。戦場にいき遅れた子供たちのひとりであった父はやがて少々神経質で才気走った少年となり、多感な年頃に高校を一年間休学、その後、生涯の恩師のひとりとなる新任の美術教師に「四角が丸に見えるならば丸に描け」と励まされ、フランスの小説家アンドレ・ジッドの「行為の善悪を判断せずに行為しなくてはならぬ。善か悪か判断せずに愛すること」という言葉と出会い救われました。驚いたことに、父はその後の人生をそのまま生き抜いたのではないかと思います。自己の中から湧き上がってくるイメージを具現化する手段としてペンを取り、言葉を駆使して行動して社会に問題提起をし続けました。そのような生き方はともすれば激しい波をも被る危険が多々あったと思いますが、若い頃から興味を持ち晩年には現代語訳を刊行までした法華経は、自身の存在の大きな支えになったようです。そして霊友会の創始者のお一人である小谷喜美さんとの出会いから、父は更に多くのことを学ばせて頂きました。

 そのようなご縁があり、父の死後に霊友会の末吉将祠会長から父の記念室を作りたいというご提案を頂いたことは、我々遺族にとって本当にありがたいお話で快諾させて頂きました。末吉会長は一般的な強面のイメージとは異なり気さくな人柄であった父を大変ご理解して下さり、石原をより身近に感じられるような場所を作りたいとご要望されて「石原慎太郎の部屋 la chambre de Sin」が出来ました。約70年にわたる作家活動の結晶である著作の展示、その拠点であった書斎と趣味の範疇を超えてライフワークであった絵画制作の現場だったアトリエの再現、そして父の人生とは切り離すことができないヨットにまつわる品々の展示、また大きなご縁を頂いた霊友会と石原慎太郎との関係の展示など充実した内容になっていると思います。

 ジッド曰く「私の心中で待ち望んでいたものをことごとくこの世で体現した上で、満足して、或は全く絶望しきって死にたいものだ。」果たして今際の際に父は何を思ったのか。これらの展示を通して石原慎太郎の人生に少しでも心を馳せていただければ幸いです。

美術家・画家
 石原延啓(石原慎太郎 四男)

展示内容

Exhibition contents

 「石原慎太郎の部屋」は3つの部屋で構成されおり、著作紹介コーナー、書斎・アトリエを再現したスペース、石原氏が人生の中で最も影響を受けた人物の一人である霊友会初代会長・小谷喜美恩師と対談した場所の紹介、エピソードなどを展示しています。
 また、室内には、ご自宅にあった家具や調度品、書棚を設置。石原慎太郎氏が暮らしていた雰囲気を感じていただけます。

利用案内

Usage guidance

入場料 無料
展示場所 霊友会第二ビル・青年会館2階
地図はこちら
公開時間 10時~16時(毎月18日は8時~16時。霊友会本部定休日を除く
ご案内 ・ご不明な点は、常駐する職員にお声かけください。
・団体でのご見学の場合は、あらかじめお知らせください。
<協力> 霊友会広報室
<お問い合わせ> 霊友会広報室 TEL:03-5563-2502 [email protected]